夏の朝

まだ明け切らない朝の静寂の中で、ごく薄いガラスを打ち鳴らすような涼やかな音が聞こえてくる。ヒグラシだ。

しばらくすると雀のさえずり、ジーっという虫か、蝉の声。それをひとしきり楽しむと今度はいろんな鳥のさえずり。一体何種類くらいいるのだろう。とにかく様々な鳴き声がかしましくなる。そのころはもうすっかり夜は明け放れている。

私は大きく伸びをしてから起き出して、階下の居間に行く。緑濃い山の間に見える空はまだ日の光が届いていない。が、見ている間に空が明るくなって、山のてっぺんの方が朝日に染まる。

この、ほんの半時間ほどの間が、とっても好き。

毎日同じ事を繰り返しているようで、同じ日は二度とない。

この一瞬は、二度と経験することがない、永遠の中の一瞬だ。