シャワートイレ交換マニュアル

先週、20年近く使っていたシャワートイレがとうとう壊れ、買い換えようかどうしようかさんざん迷っていた。が、シャワートイレのあの清潔感がどうしても忘れられず、大枚はたいてとうとう買ってきた。1人で取り付けられるものか家電店で聞いてみると、1人でもできるように一応部品その他ひとそろい付いている、ということだったので、いざ取り付けられなかったら取り付けてもらう約束を取り付けて、自宅に持って帰った。

ドライバーだのレンチだの、見ただけで頭に靄がかかる気がする私なので、大変心許ない状態だったが、取り付け代が結構高額だったので、自分ですることにする。

箱を開けると案の定、レンチだのドライバーだの、ホースだの入っていて、解説書にはゴムブッシュ、袋ナット、など聞いたこともないような言葉がずらりと並んでいる。しかし、ここでめげてはならないと思い、説明書をじっくり読んで、大まかな行程を頭に入れ、説明書をトイレに持ち込んで、首っ引きで古いのを取り外し、新しいのを取り付けた。

やれば出来るものだ。というより、こんな機械音痴な私にも取り付けられるように作ってあるマニュアルに、感嘆した。絵もわかりやすく、手順も理解しやすいように工夫して構成してある。

全くこちらの知っていることを理解しない相手に、手順どおりの動作を行わせるように文章を作ると言うことは結構難しい。身近な例では、自分の考えを相手に伝える時にも、わかりやすく伝える人もいれば、なかなか伝えられない人もいる。講演会でも、内容がうまく伝わらない人はそれほど珍しくない。以前にアメリカで販売されている家電製品のマニュアルを見たことがあるが、日本製の家電のマニュアル(もちろん英語)はわかりやすかったのに比べ、どこの国だったかの音響機器のマニュアルは文章がわかりづらく、それが日本のマニュアルと好対照をなしていた。

やや話題がはずれるが、私はイギリスのレース編みのデザインが好きなので、レース編みの本を買うと、日本なら必ずある編み方図が無い。できあがりの写真は粗悪なのが付いているが、編み方は文章のみだ。鎖編みを5目、次ぎに長編みを二目、それから鎖編み五目でループを作り、前の目の裏側から引っかける、、、という具合。こんな編み方を読みながらイギリスじゃみんな新しいデザインに挑戦するんだろうか。私には信じられない。せっかく素敵なデザインなのに、二、三日休んでいるとどこから始めるか忘れてしまい、とても大変だった。

というわけで、人に何かを伝えようとする時、配慮の仕方が日本とアメリカやイギリスとは大きく違うことを、全く異なる分野で体験した。日本はいろんな点で配慮が行き届いていると思う。以前、父が中国のシルクロードを旅した時に、ビールを注文したら、全然冷やしてなかったのであきれていた。

最近よく言われるコミュニケーション能力の不足というのも、相手のことを慮る能力に不足があるのかもしれないと思う。言葉を多く発すれば伝わるというものではないように思う。