Twitter社会論

Twitter社会論
津田大介

ツイッターというミニブログみたいなものが新しいメディアとしてもてはやされている。オバマ大統領が選挙に大いに活用したということでも話題になった。アナログ生活を送っている私も、こうもデジタル技術が席巻するようになると、知らないうちに私の暮らしを浸食しているかもしれない新しい技術やツールの正体を突き止めておかねばならない。

ツイッターというのは140文字限定で個人が自分のいいたいことをネットに投稿するというものだ。ツイッターというのは英語のさえずりに当たる言葉からとったもので、ツイッターの画面を開くと「いまどうしてる?」という問いかけが表示される。

このTwitter社会論は津田大介という若い著者が書いたもので、比較的冷静で客観的な意見を述べてあり、ツイッターの良い面も、それと同じくらいの危うい面も同じように論じていて、読む方は安心して読める。ツイッターの全体像をつかむにはとても良くできた本だ。ツイッターがどのように使われているか、著者のツイッター利用法、ツイッターの功罪などを例を挙げながら詳しく説明している。

ツイッターについては情報の伝播力が当初から大いに話題になっていた。この本でもその点に触れて、ツイッターの主要な力と位置づけている。例えば2009年1月に起きたハドソン川の飛行機不時着事故が、現場にいた一般人のツイッター投稿によっていち早く世界中にリアルタイムでその状況が伝わったなど、他にも類似の例が挙げられている。しかし、見も知らないところで発生した事件や事故を日本でリアルタイムで知るということにそれほど大きな意味があるのだろうか。私にはその即時性にそれほどの価値をおくことが良く理解できない。著者も本の中で、考える時間をおかずに発信することで発生する情報のゆがみや誤解の危うさについて述べている。

もうひとつ。ツイッターの画面に一度に表示されるのはせいぜい20ほどのつぶやきであり、それが数分ごとに投稿される場合には一時間ほどの間に投稿されたつぶやきしか見られないことになる。もちろん過去のログを見ることもできるが、いずれにしても発信された情報をその時に見られるような状態、すなわちPCを開いているか、携帯電話を開いているかしないと見ることはできないと思う。そういう状態で、ある出来事が瞬く間に世界中の知るところとなるということは、昼の日中に相当程度の人数がツイッターを見ているということになる。それも何か異常な気がする。

ツイッターの効用としてもう一つ挙げられているのが監視機能だ。多くの政治家がツイッターでつぶやくようになったこともあり、政策決定のプロセスを一般人が知ることが可能になった。そこでおかしいと思えるような政策には意見を述べたり、また、実際、経済産業省ではアイデアボックスという名でネットから意見を募集したりもしており、ツイッターにもアカウントを取得している。

伝播力といい監視機能といい、やはりそこで大きな問題になってくるのは情報の信頼性だ。その信頼性がよって立つ一つの要素は一定の時間の経過ではないかと思う。すなわち考えることだ。

この本の中に興味深い一節があったので引用する。
「ネット通販における大原則は“ユーザーに考える時間を与えたら負け”だからだ。ネット通販は、購入までの確認画面を一つ挟むたびに購入率が落ちていく。ユーザーは購入確認画面を見ているうちに“この商品は本当に必要なのか?”と冷静になる。」