物語る人

一週間くらい前から、この日には掃除、次の日は黒豆を煮て、甘酒を造って、、、などと策略を練っていたら、クリスマスに98才になる親戚の叔母が他界した。

次の日は友引だというので二日間を自宅で過ごし、三日目に天に昇った。

大変気丈な人でやや気むずかしいところもあった。悔やみに行くと、天寿を全うして眠るように他界したせいか、寝顔のような死に顔であった。

この叔母は私の祖父の姉の娘であり、それほど近い親戚ではないが家が近いので割に親しくしていた。悔やみの席で亡くなった叔母の妹という人に初めて会った。93才になるという。この人もやはりしっかりした感じの人で、年に似合わず頭がしっかりしており、いろんなことを話してくれた。20分くらいもとうとうと話し続けた。ユーモアが分かる人でその話はとても楽しめた。若い頃に出会った人の話とか、病気になって医者とけんかした話とか、なまぐさ坊主をやりこめた話とか。後から後から思い出が頭に浮かんでくるらしい。人を楽しませる話だ。

母方の叔父にも物語の大変うまい人がいて、法事が楽しみだったものだ。叔父は、狐に化かされた話が一番面白かった。この叔父の兄も日常の些細なことでも物語のように話して、すっかり私は聞き入ってしまったものだ。

田舎の法事は親戚を沢山呼ぶし、昔は兄弟が多いしするので、法事となると25人くらいはいつも集まっていた。そこでこういう話のうまくて、話の好きな人が物語をしてくれる。それはたぶん、毎回似たような話だったと思うが、何遍聞いても私は大好きだった。昔も今も日々起こることにそれほど大きな変化はなく、昔のほうがドラマチックだったということはないと思うけれど、叔父や叔母の物語る世界はかなり劇的だ。

が、そんな叔父も叔母もすっかり他界してしまい、面白い話をしてくれる人はいなくなった。こうなっては私がその物語の術を引き継がねばなるまいて。