終の棲家

ドナルド・キーン教授が88歳になるのをきっかけに日本への永住を決意されたと、昨日報道された。

日本を終の棲家として、一人の人がわざわざ選択してくれたということを知って、文字通り有難いことだと思った。果たしてそれに値するほど日本は誇れる国だろうか。が、教授のインタビューを聞いていて、日本に対する認識が私のそれとまったく異なり、何か現実を超越したところから大きい目で日本という国を見て下さっているようで、安心感が湧いてきた。

日本文学の研究では第一人者であり特に古典には造詣の深い教授は、やはり長い歴史の中で今の日本を捉えておられた。ともするとすべてのことを刹那的に捉えてしまう最近の傾向を、私は思い出した。早いということが殊の外もてはやされる最近の技術にあって、すっかりそれに引きずられ、考えがどんどん刹那的になってゆく、、、このことも「The shallows」には書いてあった。真に心すべきことだと思う。教授のほんの短いインタビューであったが、教授の醸し出されるおおらかな雰囲気とその語り口、柔和な顔、そういうものすべてが言葉自体と同じほど深い意味を持つ会見であった。

終の棲家の住人として恥ずかしくないように、振る舞いたいものだ。