笑いは百薬の長: 意地悪ばあさんの休日

今日は世間が休みだし、いいお天気だしするので、山を二つ越えた隣村まで本を届けに行こう。着物にモンペをはき、足袋に下駄という出で立ちで自転車に乗る。後ろから怒鳴られないための方策である。

こぎ出すと青葉若葉の香りかぐわしく、ほおをなでる風はゆるゆると暖かい。ああ、いい気持ち。

人がものを認識できるのは、自転車の速度が限度だとどこかに書いてあったが、実感する。車で通る時はまるで知らなかった花や木が沢山若芽を出している。あっちの白い花を眺めに行き、こっちの黄色い花に見とれたりしながらこいでいると、だんだん上り坂になってきたのではあはあ息を切らしながら、一生懸命ペダルを回す。やっぱり坂はきつい。

坂を下る段になると、耳元で風がビョーっと鳴る。このまんま空へ浮き上がるくらいも早く走る、走る。数限りなく前から来てすれ違う車のやつらに、この気持ちよさはわかるまいて、とほくそ笑みながら、両足を前に伸ばして突っ走る!

「しょうがねぇ ババァだな。」という失笑を尻目に、おもいっきり長い車列を従えて、走るこの気持ちよさは格別だわい!!