情報の伝え方

すでにニュースでも報道されている世田谷区道の線量だが、一例として以下のような記事がある。

放射線量:再測定で3マイクロシーベルト超に 世田谷区道

東京都世田谷区弦巻の区道から最大で毎時約2.7マイクロシーベルトと周辺より高い放射線量が検出
された問題を受け、区は13日、専門業者による測定を実施、高さ1メートル地点で毎時3.35マイクロシ
ーベルトが検出された。

区は、問題の区道に接する民家の板塀を覆っている樹木の葉を採取。放射性物質の付着を調べ、核種
を分析する。今後、除染などの対策を急ぐ。

今回の線量は「毎日8時間を屋外、残りを木造家屋内で過ごした」との仮定で年間被ばく線量に換算す
ると約17ミリシーベルトとなるが、国が避難を促す目安としている20ミリシーベルトよりは低い。
現場は住宅街にある区道の歩道部分で、近くの区立松丘小学校の通学路。区は念のため、現場をコー
ンで囲う措置を取っている。

区は4日と6日に約2.5メートル間隔で9地点を調べた。区職員が1カ所につき地上から高さ5センチ、50センチ、1メートルの部分
で5回ずつ測り、平均値を算出。最大値は板塀付近の高さ1メートル部分で毎時2.707マイクロシーベルト、最低値は別の部分の
0.088マイクロシーベルトだった。

13日は板塀沿いに2メートル間隔で6地点を測定。高さ1メートルの部分で毎時0.15〜3.25マイクロシーベルトを検出した。最
も高かった場所を再度調べると、地表付近で1.34マイクロシーベルト、高さ1メートルで3.35マイクロシーベルトだった。http://mainichi.jp/select/science/news/20111013k0000e040027000c.html


ここで私が注目したいのは次の部分だ。
”今回の線量は「毎日8時間を屋外、残りを木造家屋内で過ごした」との仮定で年間被ばく線量に換算す
ると約17ミリシーベルトとなる。”

この部分はどの新聞も同じ数値で同じ書き方だが、この年間被曝量は、この数値が出たところに一年間住んだ場合の値だ。その点が改めて書かれていないため、世田谷区全体を対象としたものだと誤解されることはないだろうか。実際、この数値が発表されると早速市民から不安の声が寄せられたと、他の新聞には付け加えられている。

一方「2ちゃんねる」の記事タイトルは「東京ヤバイ 世田谷区で計画避難区域の福島県飯舘村よりも高い線量2.7μシーベルト/h」とあり、計画避難区域という言葉まで使っていたずらに不安を煽っている。計画避難区域という文字を読むことで世田谷とそれが結び付けられ、世田谷は危ないという認識になる可能性がある。実際この記事に対するコメントは短絡的なものが多く、事実を正しく認識しているとは思えない。わるいことに2ちゃんねるは人気のサイトらしい。

また、ツイッターなど文字数の限られた表示では「世田谷で高い放射線量」など、キャッチーなフレーズが選択される。同じ欄に詳細な記事のリンクがもちろん付されているが、皆が皆それを熟読するとは思えない。結果として高い放射線量という言葉から受ける衝撃だけが波紋のように広まってゆく。

冒頭に引用した記事は読売新聞のものだが、他の新聞もほぼ同じような情報の伝え方をしている。正確だけれど、一般の私達が誤解しないように、もう少し言葉が補足されていたらと思う。

福島産の花火を中止したり、福島の木を燃やすのを止めたりという愚かな行為も、その他の、根拠があるとは思えない大衆の反応も、もう少し情報を丁寧に伝えれば、ひょっとして避けられたかも知れないと思う。