一世代前は

しばらく前に近くに住む親戚の叔母が亡くなった。百歳に近い人で、大往生だった。

「着物がたくさん出てきたからいらっしゃい。」という言葉に、私は嬉々として飛んでいった。

おばは百年の間に、着物の他にも、ものすごくたくさんのものをしまい込んでいた。娘らがごく小さい頃に髪に挿していたかわいい櫛とか、錆びたハサミとか、通信簿とか、包み紙、ひも類などなど。およそとっておいても何の役にも立たないだろうと思われるものが、たくさんしまいこまれていたのだ。着物は全部きちんとたたんであって、虫ひとつ食っていない。

ごく狭い押入れやタンスの中に、とにかく種種雑多なものがしまいこまれていた。こんなに狭いスペースにどうやってこれだけのものを収納していたのか。整理整頓の苦手な私には不思議というほかない。

着物を手にとって見ると、どれも絹や木綿で丁寧に作ってある。中にはまゆから紡ぎ出した糸で作った着物もあった。化繊がなかった頃の着物であるから、布自体、大変貴重なものであったに違いない。だから、大切に大切に保存しておいたのだろう。

昔話に花を咲かせていると、「やっぱり物はありすぎるより、ちょっと足りないくらいがちょうどいいのよねぇ。」ということになったのだった。