下町ロケット

池井戸潤下町ロケット

地元の作家が直木賞をとったというので、知っている人もずいぶん多いと思う。先の「空飛ぶタイヤ」に続いて、この受賞作も読んでみた。先のが結構迫力あったので、これにも少し期待した。

が、構成やら登場人物、テーマなどが似通っているために、ストーリー自体は面白かったものの、登場人物の言葉が非常に似通っていて、重なって見えてくるように感じた。

この話も小さな町工場が大企業の圧力に対抗しながら、自社の技術を信じて進む、という話だ。主人公である町工場の社長が、金銭的利益とロケットを飛ばしたいという、実現性に乏しくも見える夢の実現との間で感じるジレンマにも少し触れられている。こっちの方にもっと焦点を当てたら、もっと別のものができたかも知れないと思ったりした。経済的に逼迫した中で、安易な利益に走ることを抑制して、自分のしたいことを追求することを決断するところは、なかなか良かった。

単純な話だけれど、人は金だけで動くとは限らないということを改めて、示しているように思う。