あなたが、いなかった、あなた

平野啓一郎 「あなたが、いなかった、あなた」

この本には「鏡」、「フェカンにて」、「一枚上手」他の作品が収められている。

「鏡」では2つの物語が同時進行するという形を取り、「女の部屋」という作品は文字列が一定でなく、中央に四角い空白を配したりあるいはページ一面に文字がランダムに配されていたりしている。これは女というものを視覚的に表そうとしたものだろうか。また、「母と子」という作品ではひとまとまりの話が前後して配されている。ちょうどクロスワードパズルのピースをバラバラにしてそのまま作品にしたようなものだ。小説の新しい形を試そうとしているのだろうかとも思われる。

他の数編は一般的な書き方なので割りに読みやすい。

言葉や漢字の使い方が独特で私は結構好きだけれど、やはり、一般的な形を取らないものは非常に読みにくい。

それでも、他の作品を読んでみたいと思わせる不思議な作家だ。