TPPがもたらすかも知れない影響について

TPPの議論がかしましい。関連する分野が広いので、これに関するニュースがあるたびに私は見るようにしている。

昨日TBSプライム・ニュースでは医療分野を扱っていた。参加に慎重なコメンテーターは日本の国民皆保険制度が崩壊するのではないか、医薬品の安全基準が下がってしまうのではないか、医療の質が下がるのではないか、という点について懸念を表明していた。一方これに積極的なコメンテーターは、上記の懸念は否定できないものの、医薬品の承認が早く行われるようになる、海外の医療技術者の流入によって利用者の選択肢が増える、混合医療が更に広がって利用者の選択肢が増える、などの点をあげていた。

どのようなことにも都合の良い点悪い点があることは当然だが、上記のような良い点より気になったのが、ISD条項だ。これは農業分野などでも私には以前から気にかかっていたものだ。

この条項は、物や技術を輸出した相手国の制度にその輸出を阻害するような要因があった場合、それによって被った損失を補償するよう、国際法廷をとおして相手国に求めることができるというものである。

例を挙げると、

多国籍たばこ企業は、オーストラリアと香港間の二国間投資協定中の条項に基づいて、オーストラリアが行った、禁煙を目的とするたばこパッケージ規制法案に対する補償を求めた。当該法案は、差別的なものではなく、重要な公衆衛生問題への対処を目的としたものである。http://ja.wikipedia.org/wiki/ISD%E6%9D%A1%E9%A0%85

というものがある。

この論理から考えると、アメリカから医薬品を輸入する場合、日本の安全審査基準が厳しければそれを非関税障壁とみなして、基準を下げるように求められるということにならないだろうか。

また、皆保険制度については経済的利益を追求するTPPの論理からすると矛盾したものとなり、保険適用されない高額医療が幅広く導入されて、医療格差が生じるということにならないだろうか。アメリカや、福祉の行き届いているといわれるイギリスでさえも、民間を含む保険適用を受ける医療は、そうでない高額医療の後回しにされるということがあるらしい。保険適用外の高額な手術はすぐにしてくれるが、保険適用の手術は何年も待たなくてはならないという現実がアメリカにはあるとコメンテーターの一人が述べていた。

日本はTPP参加に参加するとはっきり言わず、参加に向けて各国と調整に乗り出すというような曖昧な言い回しにしており、参加するかしないかは条件によって決めれば良いとか、一部分野を例外扱いにするとか言っているが、これまでの外交を振り返ると、そのような日本主導の条件を勝ち取ることはほぼ不可能なように思えてならない。

TPPという言葉自体は広く普及しているものの、ISD条項のような込み入ったことについては、参加によって直接影響を受ける人たちのどれほどが知っているだろうか、あるいは説明がなされているだろうか、大変心もとないものがある。そもそも議員にしてからが、どれくらい知っているのかと思う。努めてニュースを見たり勉強したりしてみようとしている私も、問題があんまり複雑で多岐に渡っているのでよくわからない。その割にはTPP参加が与える影響は大きいように思える。もう少し丁寧な説明と議論がなされることを心から望みたい。


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