吉村昭 「漂流」

これは無人島に流れ着いた船乗りが、12年に渡る年月をそこで暮らして、生国へ帰るまでの物語だ。実際にあった話を基に書かれている。

壮絶とはこういうことを言うのだと、この話を読んで思った。ここには人の生が凝縮されているように思う。孤独ということがどういうことか、食べるとはどういうことか、人は何によって生きるのか、、、様々なことを考えさせられる話であった。

無人島で暮らすのは当初流れ着いて者たちの他にあとから漂流してきた者も加わったが、三分の一ほどは死んだり、自ら命を断ったりして、最終的には16人が生き延びた。

食料も水もなく、沖には船一そう見出すことができない孤島で暮らす彼らを精神的に支えたのは何だったのか。


この話も「破船」などと同様に史実に基づいたものらしいが、その描写力、構成力は素晴らしい。漂流者らが生国に帰るところで話は終わりかと思ったが、話はそれで終わらなかった。私には意外な終わり方で、これも興味深かった。