夜の哀しみ

三浦哲郎「夜の哀しみ」

一人の女が、一瞬の性の発露を原因として不運な死に様をする話。と、一言で言ってしまえばそんなものだけれど、描き方には力があり、生活感がにじみ出てくるようだ。知的好奇心というようなものは全く持ち合わせていないひとりの女が、一瞬のすきを突かれて人生を狂わせる。そして自らの子供達によって、死に追いやられる。子供らが積極的にそうしたのではなく、彼女が自分でそこまで自分を追い込んだのだ。

まさに哀しいと言うより他に言いようがない。若いころなら、これを読んで、解決法は他にいくらもあるのに、と不甲斐なく思ったに違いない。が、年の功というべきかこのような話にも同情の余地ができて、穏やかな哀しさが心の底に残った。