ブエノスアイレス食堂

カルロス・バルマセータ著「ブエノスアイレス食堂」

少し前から本のタイトルに惹かれて読んでみたいと思っていた。
以前にガルシア・マルケスの「百年の孤独」と「ママグランデの葬儀」を読んで、ラテンアメリカ文学を少し覗いて好きになった。他にもう一人旅行作家の作品も読んだが、これも大いに好きだった。どれにも激しい生き方と、その背景にある広大なパンパ、そこを吹き渡る乾いた風、そんなものを感じる。語り口にもやはり似た感じを受ける。馬がギャロップするような力と勢いがある。話に登場する人物はいずれもものすごく濃い人生を送っている。

このブエノスアイレス食堂は、乳飲み子が母親の乳房を食いちぎるところから一気に物語が始まる。そして、この食堂で働く人々、彼らを揺さぶる政変。様々な苦難に出会いながらも、その中を果敢に、あらあらしくこぎ渡ってゆくたくましさ。日本の暮らしや社会の持つ幅とは比べ物にならないそのドラマ性は、魅力的だ。