原発再稼働について

原発の再稼働に対する必要性が叫ばれている。しかし、この時点ですぐに再稼働するのは不安だ。

独立検証委員会による東電原発事故の調査報告書を読んでいると、原子力がいったん暴走すると人の手に負えないものであることは言わずもがな、あのような悲惨な状況を招いたのは、人的過誤や制度上の不備に大きな理由があったことが見えてくる。

報道では事故対応の不味さを私たちは目の当たりにしたわけだが、報告書にはその背景がつぶさに分析されており、知れば知るほど、恐ろしくなる。この程度で収まったのは天の恵みだ、ということを事故対応関係者自身が述べている。東電は報告書作成に必要なインタビューにすら応じていない。

一応の緊急対策は作成されていたものの、そのマニュアルは十分活かされなかった。指揮命令系統もいざとなると決められたとおりには機能せず、東電、政府、原子力関連の組織の間には情報の共有が十分に行われなかった。もし、現場の状況がすみやかに保安院や安全委員会に報告され、保安院に適切な人材が配置されており、しなければならない判断を確実に行なっていれば、建屋の爆発は防げたであろうことが容易に推測される。ところが実際はこれらの組織の間で情報が十分に共有されず、そういった中でそれぞれの組織が発言したために内容に齟齬が発生し、放射能に対する私たちの不安は増幅され、政府の対応も後手に回った。

原発事故の9割以上は人的過誤によるものであるということを以前どこかで聞いたが、それがあたかもここで証明されているようだ。

組織や制度、それを構成する人員が大きく変わっていない今、電気が足りないからといって再稼働するのは正しいことなのだろうか。経済界や電力業界が盛んに喧伝する電力不足も、今となっては疑わしい。実際、1基しか稼働していない今、電力消費量が少ない季節とはいえ、大きな支障は無いようだ。少なくとも、54基も作る必要があったとはとても思えない。やはりそこには電力業界や政府関連組織の巨大な利益が存在したに違いない。そうであってみれば、ますます再稼働については国民の厳しい目が注がれてしかるべきだと思う。