バーバー吉野

バーバー吉野を観た。三回目。幾度も観ても楽しめる作品はあまりないが、これはそのひとつだ。

この映画を知らない人のためにちょっとあらすじを。
村の小学生は一人残らず「吉野刈り」という坊ちゃん刈りみたいなヘアスタイルをするように決められているある小さい村に、東京からハンサムな転校生がやって来る。この子も吉野刈りにするよう周囲から強要されるが、髪型は自由であるべきだと主張して、断固として拒否する。思っても見なかったこの行動に、クラスメートたちはひょっとして自由であるべきなのかもしれないと思い始めて、自由なヘアスタイルを求めて戦いが始まる。

三回目ともなると、監督の技と配慮が見えてきて更に面白い。ケケおじさん(呼び名は正しい?)と東京からやってきたハンサムボーイ、それに対応する、伝統を重んずる保守的な村人。けけおじさんというのは村人の常識を超えたところにすむ住人で、ある日ハンサムボーイと鉢合わせして、この村ではお互いが同種のものであることが示唆される。100年以上続いてきた吉野刈りの伝統に全く疑問を挟まない村という一つの世界に、突破口を開くのが東京ボーイであり、その素地として代表されているのがケケおじさんだ。示唆に富む映画である。蛇足だが、私の村にも「ニコニコおじさん」という人物がいて、娘らが学校に通っている頃、行き当たると突然、わはははは、、と意味なく笑いかけられたらしい。

めがね、かもめ食堂など、荻上直子の感性は好きだ。近く「レンタネコ」という映画が公開されるらしい。