お日様の恵み

「温水器が壊れたぞよ」夕飯の時に父が言った。

最近は太陽光が注目を浴びているが、この温水器は太陽熱で湯を作る。原理は至極簡単で、日向に水を置いておくと暖かくなるが、これを更に効率化したものだ。屋根の上に黒い平たい板みたいなものを設置し、その中に水を配管して、おひさまの熱で水を温める。夏には手も入れられないほどの熱湯になる。

熱を電気に変換しなくても、そのまま利用するので熱効率は良い。複雑な機会も必要ない。実家の温水器は日立製だが、すでに生産を中止しているとかで、修理は不能ということだ。ソーラーパネルよりもずっと簡単に湯が作れるので、また復活するかもしれない。

そもそも実家では私が小さい頃から、つまり50年近く前から、自家製温水器を屋根の上に置いていた。どんなものかというと、ドラム缶を縦半分に切断してタールを塗り、それにホースを取り付けた、ごく簡便なやつだ。昔は屋根が頑丈な瓦だったのでこんなこともできた。

田舎ではおひさまは他にも、穀物を干したり、しいたけを乾燥させたり、畳なども、お日様に当てることで虫よけをしていた。麦芽糖を作るにもやっぱりお日様に当てて温度を保っていた。美味しい麦アメを作るためだ。蒸したさつまいもも、お日様に干して、甘い干し芋を作っていた。

お天道様は偉い。その恵は遍くもたらされるのである。