長沼毅 「私たちは進化できるのか」

自分が小さく見えて、自身がなくなってきたら、この本を読もう。

生物学者が書いた本を読むのは初めてではありませんが、これは一風変わっています。辺境生物学者とタイトルが付いているこの著者は南極、北極、深海など文字どおり辺境の生物を研究していて、地球が誕生してから面々と続いてきた生物の歴史をその観点として人を見て、この本を書いています。そういう観点から見れば、人間なんてついこの間生まれたばっかりで、どう転んでも大した存在ではありません。何をしようが、しまいが、地球全体の歴史から見ればごく小さな存在なのです。そう思うと、自分の失敗なんぞは大したことない、と思えてくる。

元気が出る他にも、この本には実に興味深い(私にとってですが)ことが書いてありました。地球誕生以来様々な生物が誕生と絶滅を繰り返してきました。賢いものが生き残る、、、かといえばそうではなく、激変した環境にたまたま適応できたものが生き残ってきたのでした。今この時も沢山の種類が絶滅していますが、原因が人間活動でない限り、著者は「しかたがないことだ」と片付けています。

この本ではつい先ごろまでかしましく論議されていた地球温暖化についても一言しています。地球の二酸化炭素の量がどれほどか、知っていますか。私は知りませんでした。なんと、0.04%だそうです。窒素は78%、酸素21%です。ただ今は人間が出した二酸化炭素で地球の温暖化が進んでいるというのがもっぱらの主張ですが、この数字を見る限り、疑問を禁じえません。地球のこれまでの歴史から見て、地球は寒冷化していると著者は言っています。急き立てられるように二酸化炭素の排出削減がなされている昨今ですが、そして、このまま二酸化炭素が増え続ければ50年後には取り返しがつかないことになるというような脅しもありますが、さて、地球は人が住んでいようがいまいが温暖化と寒冷化を繰り返してきたのです。その地球の歴史的スケールから見ると寒冷化のサイクルにあるというのが著者の見解です。

物事が目の回るような速さで変化し、人の興味もそれにつれて次から次へとうつろいゆく今、地球史というスケールで物事を眺めて見ることもいいのではないかと思いました。