お母さんと先生に伝えたい60のこと

たくみ発達クリニック 内匠 敬人/良子著 「お母さんと先生に伝えたい60のこと」発達障害児の力を引き出すために

長年発達障害児と関わった経験を基に、様々な助言がわかりやすい言葉で書かれています。例えば、「試行錯誤を繰り返しながら、最良に近づいていく」、「苦手なことは、毎日継続して教える」、「母親もほめられることが必要」、「行動を叱る」などなど、すぐに暮らしに活かせる項目で構成されています。

これは障害を持った子どもとその親だけにとどまらず、すべての親と子に当てはめて、日々参考にすることができる情報であり、私には大いに参考になりました。

そもそも、障害者と健常者という分け方は、治療する専門家には意味があるかもしれないけれど、私たち一般の親にはほとんど意味が無いような気がします。どの子もそれぞれ、独自の発達速度を持っていると思うからです。

私自身を振り返ってみても、小学校へ上がるまではぼーっとしていたような気がします。小学校では音楽、体育そして国語以外はすべて3(当時は小学校から五段階評価でした)、中学校に入ると初めて受けた英語の授業で、英語の音に魅せられてすっかり好きになり、初めてクラスで一番という経験をしました。私の学習意欲が目覚めたのはこの時でしたが、その後は高校に入っても、英語自体は好きでしたが授業はさっぱりつまらず、成績もふるいませんでした。高校を出るときには、英語をもっと勉強してみたいという一心で専門学校に入学しましたが、その時点で私の好きな事は明確でした。その後専門学校にいるうちに、言葉自体に興味を惹かれてフランス語やスペイン語を少し勉強してみたり、言語学の本を読んだりしました。しかし専門学校を卒業する段階になっても、就きたい職業が決まらず、生きがいも見つかりませんでした。

以前にも書きましたが、私の脳が真の意味で目覚めたのは通訳養成所でのことでした。それが35歳のときです。つまり、私は35になって初めて自分の知的好奇心は十分に満足し、それなりに好きな仕事も見つかったのです。知的に早く目覚める人もいれば、私みたいに30半ばで目覚める人もいる。

上記の本にも書いてありますが、「一つのことを教えようとしてもなかなか覚えてもらえない、しかししばらく時期を経てから教えるととても良く覚えることがある。」そういうことが確かにあると、自分の経験から分かるのです。物事にはタイミングというものが確かにある。

十人十色といいますが、一人ひとりが固有の学びの速度や方法を持っているに違いない。しかし自分ではそれがわからないというのが歯がゆいところです。では学校を頼みにできるかというと、30人も40人も一緒に授業をしなければならない施設で、それをいちいち発見してそれに合わせて教えるということは不可能です。

これを見つけて十分に活かすことができるのは子供に最も近い人、多くはお父さんやお母さんです。集団生活をすることが難しい時には、これができるように援助してやる必要があります。生きていく上で、集団生活はぜひとも必要だからです。また、学ぶ(この場合学ぶとは学校で得る知識だけにとどまりません。生きるために必要な知識と技術全般です。)ためには少なくとも一定の時間物事に集中することが必要です。

長い間私は子供に英語を教えていますが、最近は集中することができない子供が多くなりました。十年前までは全く見られなかったことです。集中できない子たちは、それぞれに集中できない様子が違っています。3秒とじっとしていられない子、5分くらいは集中できる子、何をするときもテンションが高い子、、、実に様々です。そしてこういう子たちは、集中できる短い時間になら、程度は違うものの、それなりに学べるのです。

子育てというのはごく個人的なものであるべきだ、というのが私の考えです。多少偏っていても、それが反社会的なものでなければ少しも構わない。うちの子は何が好きか、どんな時に集中することができるか、よく観察することが大切だと思います。そして、それぞれの「うちの子」を育てていって欲しいと思うのです。社会性を保ちながらも個性的な「うちの子」たちが沢山いたら、社会全体も活性化するというものではありませんか。