ウェブはグループで進化する

ポール・アダムス著 ウェブはグループで進化する

ソーシャル・ネットワーク・サービスをビジネスに活かすためのハウ・ツーものです。普段この手の本は全く読まない私ですが、フェイスブックで友人が同著書のページを紹介しており、それに興味があって読んでみました。

内容は実践的でとてもいいと思います。ハウ・ツーものはアメリカに限るという私の考えを更に裏付けるものでした。これが単にハウ・ツーものだけに終わっていれば、多分私は途中で投げ出したでしょうが、この本にはSNSの現実が、人の脳の働きや行動傾向とともにつぶさに書いてあって、大変興味深く読み終わりました。SNSの特徴、それが人に与える影響、どのようにSNSを利用したらよいか、などなど具体的に書いてあります。

著者によれば、今のウェブは現実の人間関係にどんどん近づきつつあります。著者はグーグルのサークルを考案した後にフェイスブックに移籍した人で、まさにSNSのどまんなかで仕事をしている人であるだけに、その分析は説得力があり、なるほどと頷く箇所もとても多い。

現実の人間関係に近づきつつあるという点では、たくさん友達を登録している人でも、実際にイイネを押したりコメントしたりする相手は殆どの場合数人にすぎないとか、商品情報はそれらの友人間で口から口へと伝わってゆく。商品名が口にされるのはほんの一瞬だが、広く拡散してゆく。情報が多くなればなるほど、人は知人や友人の情報を頼みにするようになる。などなどのことが、フェイスブックを始めとするグーグル、ツイッターなどで交わされる会話、コメント、つぶやきなどの、時には数百億に登る情報を元に分析されています。私達が全く意識しないで取る行動についてもその傾向がつぶさに分析され、数値化されているのです。

つまり、私達がウェブ上で取る行動の一つ一つ、発する言葉の一言一言は逐一収集蓄積され、分析されているということです。そして、ウェブ上で人がどのような行動を取るかを示し、それに即したマーケティング戦略が実践的に書かれています。

これを実践されたら、私たちは多分無意識のうちにその策略にはまってしまうに違いありません。事実、そのようになった例も挙げてあります。

ものを売る側にいる人には、あまり読んでもらいたくない本です。

が、このようにウェブが普及した世界で人がどのような行動を取る傾向があるのかを知りたいという知的好奇心を満たす分には、大いにおすすめしたい本です。また、その傾向を知っておいて決して損にはならないことだと思います。