親族の扶養義務を強化する法案についての記事から連想したこと

扶養できぬ理由、親族に説明義務づけ案 生活保護めぐり(http://www.asahi.com/national/update/0929/TKY201209280728.html)という表題で朝日新聞に記事が掲載されている。

この十数年で倍増している生活保護費は国の財政に大きな負担となっている。受給しているのは老人世帯が多いのだが、この数年は若年層の受給者も大幅に増えている。特に働けるのに働いていない人に支給される保護費や、働いて給料を得るよりも生活保護を貰った方が金額が多くなるという、一部自治体での逆転現象が問題視されている。

そんな中、人気芸人が、その母を扶養せず生活保護を受給させていたということが判明して、社会の大きな注目を集めた。どんなメディアでかは知らないが相当なバッシングもあったらしい。

最近はちょっとしたきっかけで思いがけなく大きな流れになり、過激な言動に走る傾向がある。ネットの普及率が高くなってきたことと、匿名性が高いことがそれに一役も二役も買っているのではないだろうか。

最近では都市部の反原発デモが記憶に新しい。時には数万人という人が、ネットの書き込みを頼りにデモに参加したそうだ。

私自身は原発は要らないと思っているので、こういったデモ自体に反対ではないが、報道を見ていると必ずしも皆が皆自分の主義主張に従ってデモに参加しているわけではないらしい。有名人が参加したこともあって、お祭り気分で参加した人や、興味本位で参加した人、構成はいろいろだと思う。しかしあれだけの人数が集まったことで、当初は無視していた官邸も最後には企画した人と会談を設けるまでになった。

冒頭に示した朝日新聞の記事は「人気芸人の母親が生活保護を受けていたことが社会問題化したことを背景に、」としており、かの人気芸人の件がこの法案策定の一因となったことが推測できる。

政府は国民の声にもっと耳を傾けるべきだとずっと思ってきたし、今もそう思っている。が、それは声の大きい方へ向くということではない。注目を浴びていることと、それに同調している人の数が多いことは同じでない場合もある。

扶養義務強化の法案が世論に影響されて作られたものかどうかは分からないが、東北産花火の打ち上げ反対を始めとする東北産品の拒否や、最近ではがれきの広域処理への反対など、科学的根拠がない単なる感情論であっても、その声が大きく報道されるために、自治体の首長がそれに動かされるという有様を何度も見る。

そのたびに、このようにして一つの自治体の意思が決定されていいのかなと、私は思う。ことが国レベルまで及べばその影響は更に大きい。