童話 「ヨ・ロータ村の人々」 

その村は高い高い壁に囲まれております。

ある日のこと、ヨ・ロータ村の一人が、その壁にあいている針の穴ほどの小さな穴から外を見ていると、近くで煙がひとすじ立ち上っているではありませんか。

「大変だわ、この村に誰か火を付けたに違いない。」煙を見つけた人はすぐに村人全部に知らせました。他の村人たちもおんなじように小さな穴からのぞいてみると、たしかに煙が立っています。小さな火さえ見えるではありませんか。

そこで村人たちは集まって相談しました。
「こっちまで燃えてきたらどうしよう?」「何にもしてないのに、私らの村に火をつけるなんて。」
一言ごとに気持ちが高ぶってきた村人たちは、泥団子をとなり村に向かって投げつけたのでした。

さて、その煙というのはとなり村の人が、刈った草を燃やしていただけだったのです。となり村の人々は飛んできた泥団子を見て、しょうがないなぁ、と苦笑しました。というのも、ヨ・ロータ村からはときどき泥団子が飛んできたのです。

他の村の人達もおんなじように困っていましたので、ずっとまえにみんなで話し合ったことがありました。そうして代表者が勇気を出してヨ・ロータ村の人に、泥団子を投げないようにと言ったこともあったのです。でも、まるで言葉が通じないようだったのです。それどころか、ますます大きな泥団子を投げつけてくるのでした。

というわけで、泥団子が飛んでくるたびに、しょうがないなぁ、と顔を見合わせて苦笑いするだけにしたのでした。