秋の実り

暑い暑いといいながらも季節は確実に秋になり、銀杏の大木から透き通ったみかん色の実が落ち始めたので、先日来から拾って水に漬けました。水に漬けておくと果肉が柔らかくなるので、水から上げて大きい瓶に移し、長靴を履いた脚でギュッギュッと踏みつけます。そうすると果肉が離れて種が残るので、種を洗って日に干します。

この作業が面倒だという人は多いのですが、私には結構な楽しみです。地面に落ちたみかん色の実は眺めて美しい。ひと粒ずつ拾い集めて水につけ、果肉が充分柔らかくなるのを待っていると何か秋らしい気持ちがします。秋の金色を帯びた日差しの中で、果肉を落とす仕事も収穫の楽しみがあるのです。

この季節は銀杏の他に栗の実と小豆が採れます。栗の実は木の下に落ちたのを拾うのですが、イガがあるので火バサミで実を取り出します。お猿さんもさすがにイガが痛いのかあまり採らないので、私達がいただく分には充分です。採った後は広げてお日様に干します。

小豆は鞘が茶色くなって枯れたものからちぎり取って収穫。一昨年購入した大納言小豆を取っておいて蒔いたもので、だんだん野澤種になって来ました。豆類は空気の中から窒素を取り込んで自分で肥料にするので、肥料をやる必要がありません。種を播いて眺めているだけで美味しい実りがいただけるのです。大豆も同じ。なんだか申し訳ないような気になります。

こうして草や鶏の糞を堆肥として野菜を作っていると自然のめぐりがよく分かります。土の中にはミミズを始めとする幾種類物もの地虫や昆虫の幼虫が暮らし、地面の上では蝶や蜂、バッタなどの虫が飛び交い、生態系が豊かになります。虫や鳥は野菜を食べたりして悪さをすることもありますが、全滅するほど食べません。あんまりひどい時は網をかけたりしてやんわりと防ぎます。

まあこんなふうにして、自然界に本来存在する生き物たちとなるべく仲良く、時に交渉したり、妥協したりしながら暮らすのは楽しいものです。環境の中にいる生き物と仲良く暮らす秘訣、それは分相応に暮らすということです。人以外の生き物は大体のところそうしています。それぞれがこれを守っていれば、一つの種が大量発生することなく、皆がそれなりに幸せにやっていけるのです。